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講演会・イベント

白駒妃登美さん講演会『歴史が教えてくれる日本人の生き方』

2019年07月27日

今回の講師は“博多の歴女”で有名な白駒妃登美さま。『歴史が教えてくれる日本人の生き方』と題してご講演いただきました。
冒頭、DVDにて中学1年生に向けての道徳の授業テーマ「かけがえのない命」の様子が放映されました。「命はかけがえのない大切なもの」という教育をしているにもかかわらず自ら命を絶つ自殺者の数は交通事故による死亡者を上回るという現在の日本。子どもたちに「みんなの命はかけがえのないものだけど その命にかえてでも守りたいものはありますか?」とDVDの中で投げかける白駒さま。「命を大切にするためには、命にかえてでも守りたい大切なものを見つける。そうすれば命を無駄にしなくなる。その何かとは目に見える家族や友人であったり、目に見えない使命や誇りかもしれない。その何かに出逢ってください!気づいてください!」と伝えた時の子どもたちの真剣なまなざしをみて大人が子どもにちゃんと向き合えば子どもたちは応えてくれることを確信されたそうです。

<海外に出ることで日本の良さに気付く>

昭和39年、東京オリンピックの開催。戦後20年も経たない時にあんな大きなイベントを成功させた、日本人の底力! しかし若い頃は、海外への憧れをつのらせ、自分が日本人であることに誇りを持てなかった。日本をの歴史や文化を見直すきっかけとなったのは、大学時代や社会人になってから海外に行って多くの人々と交流を結んだこと。

世界の中で日本が一番古い歴史(2679年)を持つそうです。2番目のデンマークは約1100年、3番目のイギリスは約950年。しかし戦後の日本は建国の歴史や近現代史を教えず、日本人は自分の生まれ育った国の歴史を知らない。海外に出て、日本の歴史の長さを称賛されてもわからず、恥じた経験から歴史を学び始めたそうだ。「まっとうな愛国心を持ったちゃんとした日本人」こそ国際人となる第一歩である。「まっとうな愛国心」とは先人たちが紡いできた歴史を理解し、他国にも敬意をもち、自国を愛する心である。世界が日本を愛してやまない理由は「日本人の道徳心」。それは、災害時にも秩序を保ち支え合う、その姿に象徴されます。

<日本人にとって働くこと=美徳>

「はたらく」の語源は「傍(はた)を楽(らく)にする」=目の前の人を笑顔にすることであり、遺伝子に刻まれた人間にとって最高の幸せは、自分という存在が、誰かの喜びの源になっていると実感できること。つまり誰かに喜んでもらえた、誰かの役に立てたという経験が、最高の幸せなのです。一生懸命働くことで、周りの人たちを笑顔にするだけでなく、自分も最高の幸せを手にできる。子どもを幸せにしたければ、利他の心を育てていくことが大切です。

<群馬県の偉人 小栗上野介>

群馬県を訪れるたびに思い出すのが、小栗上野介。江戸時代末期の幕臣であり、近代日本の礎を築いた武士。その墓は現在の高崎市権田の東善寺にある。日露戦争で日本海海戦の指揮をとり完璧な勝利をおさめた東郷平八郎は、小栗が横須賀に造船所を建設してくれたから勝てたと、その功績を大変高く評価している。日露戦争が終わると、小栗の遺族を招待し、もてなした。罪なく斬首された小栗に恩を感じ、恩に報いたのだ。

日本という国名は702年につけられた。それ以前は「日ノ本(ひのもと)の国」とよばれていた。「日ノ本の国」を短くし、「日本」となる。日ノ本の国とは、「太陽が命の源である国」という意味であり、この国名に象徴されるように、日本人が古来もっとも大切にしてきたのは、「恩」という概念である。「恩」という字は「因」と「心」。心は「心臓」の「心」だから、命を意味する。命の源に対する深い思いが恩。恩を感じ、その恩に報いるという生き方が、日本人の心のスイッチをオンにする。

<吉田松陰の人生>

鎖国中の日本は大きな船を造ることも禁じられていた。そのなかでのペリー来航。黒船の、これまでに見たことの無い大きさに日本人は度肝を抜かれた。しかし好奇心旺盛な日本人は、ただ驚いたり恐れたりしただけでなく、造船技術に興味を持ち、海外に渡航しようとする者も出てきた。そのなかの一人が吉田松陰。ペリーの船に忍び込み、渡航を希望するも叶わず、自首し、牢獄生活となる。松陰は家族に書物を持ってきてもらい、学び続けた。入ったら最後、二度と出られないという牢獄で、誰もが人生をあきらめ、すさんでいたが、松陰はあきらめもせず、執着もせず、現実を受け入れて、そこで出来る最高のことをしようとしたのだ。さらに松陰は、囚人たちのいいところを見つけ、彼らを先生にしてみんなで学び続けた。すると、すさんでいた牢獄の空気が一変し、模範囚ばかりになった。彼らの約半数は釈放され、松陰も自宅謹慎に。ついに牢獄を出て松下村塾を開いたのだった。松陰のように、何もせずただ死を待つのではなく、死の瞬間まで学び、成長し続けるというのが、日本人の理想とする生き方。

死ぬまで進化し、死ぬときが最高の自分である。人生には壁は無い。壁だと思っていたのは扉であり、視野を広く持てばドアノブが見えてくる。出口の無いトンネルはない。そのために今を大切に精一杯生きることが大切だと結ばれました。

日本人の生き方に感動し、大きな生きる勇気をいただいたすばらしいご講演で多くの聴衆が涙しておられました。わざわざ福岡からおいでいただきまして、誠にありがとうございました。

理事長&園長 長谷川俊道 拝。

《講師プロフィール》

“博多の歴女” 白駒妃登美(しらこま ひとみ)
1964年、埼玉県生まれ。福岡市在住。幼い頃より歴史や伝記の本を読み、登場人物を友だちのように感じながら育った。福沢諭吉に憧れ、慶應義塾大学に進学。卒業後、日本航空に勤務し、1992年には宮澤喜一首相訪欧特別便に乗務。その後、企業の接遇研修講師、結婚コンサルタントとして活動中に、大病を患う。命と向き合い、歴史上の偉人の生き方を改めて丁寧に紐解くなかで、かつての日本人が生きていた「今を受け入れ、この瞬間に最善を尽くし、天命に運ばれていく」という天命追求型の生き方にシフトする。生き方を変えたことで奇跡的に病状が快復。
2012年、株式会社ことほぎを設立し、日本の歴史は「志」のリレーであり、報恩感謝の歴史であることを伝える講演活動を本格的に開始する。講演では「こんな歴史の先生に出会いたかった」「日本人に生まれてよかった」と涙する参加者が続出。全国各地での講演・メディア出演依頼は年間200回におよぶ。子育てと仕事に奮闘する二児の母でもある。
主な講演先は、経営者勉強会、企業、教育機関、官公庁など多岐にわたる。天皇陛下御即位三十年奉祝委員会・奉祝委員、公益財団法人モラロジー研究所・特任教授をつとめる。

【著書】
“人生に悩んだら「日本史」に聞こう”~幸せの種は歴史の中にある~(祥伝社)
“感動する! 日本史”~日本人は逆境をどう生きたか~(KADOKAWA)
“こころに残る現代史”~日本人の知らない日本がある~(KADOKAWA)
“愛されたい!なら日本史に聞こう”~先人に学ぶ「賢者の選択」~(祥伝社)
“子どもの心に光を灯す 日本の偉人の物語”~歴史を学ぶと希望が生まれる~(致知出版社)“歴史が教えてくれる日本人の生き方” ~日本の歴史は「志」のリレー~(育鵬社)
“幸せの神様に愛される生き方”~夢を超えた素敵な現実を生きる方法~ (育鵬社)
“なでしこ歴史物語” (モラロジー研究所)
“誰も知らない偉人伝”~勇気をくれる日本史~ (KADOKAWA)      
“古事記が教えてくれる天命追求型の生き方”(エイチエス出版)

【連載】(現在も連載継続中)
 ・モラロジー研究所 月刊誌「れいろう」 なでしこ歴史物語
・  NHKラジオ「九州・沖縄歴史散歩」 ※2018年4月より、首都圏にもエリア拡張

【メディア出演】
・NHKテレビ「おはよう九州・沖縄」
・ABC朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」 ※カシコブレーンとして最多出演中(8回)
・日本テレビ「NexT」
・RKB毎日放送「今日感テレビ」
・RKB毎日放送「豆ごはん」
・TVQ九州放送「BEYOND輝きWOMAN」
・テレビ西日本「百道浜DXストア」
・テレビ西日本「九州だんじ」
・RKBラジオ「開店!ウメ子食堂」
・KBCラジオ「KBC長浜横丁」
・KBCラジオ「朝からしゃべりずき」
・KBCラジオ「アサ⑥サタデー」
・NHKラジオ「おはよう九州・沖縄」
・NHKラジオ「ラジオ深夜便」
・NHKラジオ「はっけんラジオ」
・NHKラジオ「にっぽん列島夕方ラジオ」など多数。